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地銀再編関連銘柄に注目
地銀再編とは
日本では日銀がマイナス金利政策を継続しているほか、一度は利上げを進めたFRBが再び利下げを実施するなど世界的に金融緩和が長期化している。
従来は景気悪化への対応策として行われていた金融緩和が、景気減速の予防策としても使用されるケースが目立ってきており、今後も金利が低い状態が頻繁に出現する可能性がある。
資金の貸し出しにより金利収入を得る銀行ビジネスにとって低金利は打撃であり、特に財務体力が相対的に乏しい地銀の業績は苦しい状態だ。
大手行でも新卒採用の絞り込みが行われる中、地銀でもATMや店舗統合、人員融通などによるコスト削減を進めるべく、再編が活発化してきている。
地銀再編についてはインターネット銀行などを抱えるSBIホールディングスが9月に島根銀行、11月には福島銀行に出資しており、地銀以外も巻き込む形で再編がさらに加速することが期待される。
地銀再編関連銘柄が株価を上げる仕組み
地銀再編関連銘柄は、地銀同士が合併したり、他企業から出資を受けたりすると株価が押し上げられやすい。
合併が実現すれば店舗統合などを進めることでコストを削減でき、低金利下でも利益を確保しやすくなる。
また、他企業から出資を受けることによっても、従来とは異なる視点からのコストカットが可能になるとの見方が生じ、株価上昇につながるケースが多い。
地銀の中にはすでに業績不振に陥り赤字や無配に転落しているところもあるが、先行き不安から株価が下落していても本業業績が堅調なところも見られる。
地銀全体が割安放置される傾向がある中、業績悪化リスクの限定につながる合併や出資受け入れ報道が出れば、地銀関連銘柄が急反発することもあり得る。
動きのある地銀再編関連銘柄
<8562>福島銀行はSBIからの出資報道で急騰
福島地盤の地銀<8562>福島銀行は、SBIホールディングスからの出資報道を受けて急騰した。
11月8日に250円でスタートした株価は、11月13日に一時470円をつけ2倍近くにまで上昇した。
11月15日終値も359円となっており、月初より大幅に高い水準となっている。
福島銀行は地盤の福島県経済が東日本大震災の影響もあり中長期的な衰退リスクは高いものの、業務効率化などで生き残りを図りたいところだ。
小規模地銀<7150>島根銀行もSBI出資で上昇
小規模地銀として経営体力の乏しさが懸念される<7150>島根銀行も、SBIホールディングスからの出資を受ける方針を示したことで株価が上昇した。
9月5日に603円で終えた株価は、9日には一時842円まで急騰した。
11月12日にも一時10%以上の急騰を見せており、地銀における業務効率化の進展が意識されれば好材料となる。
地域人口が減少する中で業績の大幅な成長は見込みづらいが、インターネット銀行のノウハウ等を取り入れてコスト削減を進め、上場維持を図りたい。
地銀再編関連銘柄 一覧
コード | 企業名 | 企業情報・業務内容 | 注目度 |
8562 | 福島銀行 | 福島の第二地銀。原発事故に伴う人口流出等もあり厳しい経営状態だが2019年3月期は復配に成功。 | ★★★★★ |
8473 | SBIホールディングス | 銀行や証券などを抱える。地銀への出資に積極的。 | ★★★★★ |
8338 | 筑波銀行 | 茨城地盤の地銀。利益減少傾向の中、他企業からの出資受け入れなども選択肢に効率化を進めたい。 | ★★★★ |
7189 | 西日本フィナンシャルホールディングス | 西日本シティ銀行、長崎銀行などを抱える。統合に伴う業務効率化に期待。 | ★★★ |
8345 | 岩手銀行 | 岩手地盤の地銀。高齢化や人口減少に伴う地域経済の衰退リスクに直面。 | ★★★ |
8416 | 高知銀行 | 高知地盤の第二地銀。黒字は継続しているがコスト削減はさらに進めたい。 | ★★★ |
8550 | 栃木銀行 | 栃木地盤の第二地銀。利益は減少傾向で減配も進めており業績改善が急務。 | ★★★ |
8363 | 北國銀行 | 岩手地盤の地銀。割安感は小さめだが財務良好。 | ★★★ |
8358 | スルガ銀行 | 静岡地盤の地銀。不適切融資問題からの再起に期待。 | ★★★★ |
7150 | 島根銀行 | 山陰地盤の地銀。地域の人口・経済規模が小さく2020年3月期は赤字見通し。 | ★★★★ |
株師孔明注目の地銀再編関連銘柄
これから注目のテーマ株となりうる地銀再編関連銘柄。
その中でもとくに注目しておきたい企業を紹介していこう。
<8473>SBIホールディングス
証券・銀行を抱えるほか、ベンチャーキャピタルとしても活動している。
島根銀行、福島銀行へ出資しており、今後も出資を通じて地銀とのパイプを強化する可能性がある。
地銀ビジネスは人口減少リスクに苦しめられているものの、中長期的には低金利政策の解除や業務効率化の進展で収益を維持しやすい環境が到来することもあり得る。
インターネット銀行事業などで培った効率化ノウハウを地銀にどこまで浸透させられるかに要注目だ。
<8358>スルガ銀行
静岡地盤の地銀。
不適切融資問題で業績が悪化したこともあって、家電量販店を展開するノジマから出資を受けている。
株価は2018年初から約2年で5分の1程度に落ち込んでいるが、2020年3月期は黒字転換を見込んでいることもあり反発に期待したい。
地銀間でのATM統合など業務効率化の流れが加速すれば株価が後押しされることもあり得る。
地銀再編関連銘柄 まとめ
地銀再編関連銘柄は、マイナス金利政策の長期化を背景に地銀の収益力が低下していることから注目を集めている。
地銀間での合併の他、インターネット銀行などからの出資受け入れなどによって収益力がどこまで回復するかを注視しておくとよいだろう。